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HI-FIよ永久に
(ブランドの価値と製品戦略)

 本屋で久しぶりにオーディオ雑誌を手に取った。中学・高校の頃は空前のオーディオブーム。将来働いたらリスニングルームを作って、そこに高級HI-FIセットを置くのだと夢見ていた少年は、歳を取ってもあの頃の心のときめきをいまだに覚えている。

 アンプの特集を見ると、マランツ、マッキントッシュ(パソコンじゃないからね。念のため)、マークレビンソン、そして日本の雄、アキュフェーズ。そうそうたる高級オーディオ機器メーカは未だ健在で、100万円はざらという、浮世離れした値段の製品がそこには並んでいた。

 100万円といえば、ナカミチのカセットデッキを思い出す。30年近く前、仏壇みたいなそのデッキをラジオ雑誌で目にした私は、「大人って、こんなのが買えるんだ。俺も早く大人になりたい」と無邪気に思ったものだ。しかし私がそのカセットデッキを買わぬうちに、2003年2月、ナカミチは民事再生法を申請した。

 その頃ナカミチは超の付く高級オーディオメーカーで、値段も高くて、家電メーカー系列のそれとは明らかに違うブランドだった。しかし1980年頃、それまでのナカミチ製品とは一線を画した、7万円程度という廉価な製品を市場に投入し始めたのを覚えている。そしてそれがナカミチの間違いだったのではと、私自身は思っている。

 ナカミチの業績低迷については、バブル崩壊後のオーディオ不況が要因との見方が多いが、それはひとつの要因ではあって、根本的な原因は別にあったと私は思う。そう、ナカミチは廉価な製品を出すべきではなかったのだ。

 例えば100万の製品で得られる利益を10万の製品で得るには、同じ利益率なら10倍売らなければならない。だから廉価な製品で利益を得るには、数多く作って売ることが当然必要となり、固定費の増加をもたらす。そしてそれは製品が売れなくなったとき、赤字に転落し易い体質となる。青森と福島に小さな工場を持っているだけだったナカミチが、そのビジネスモデルで頑張ることが、本当に必要なことだったのだろうか。

 ナカミチは、欲しくても中々手に入らないブランド力を持っていた会社だった。そしてそれは中々買えない値段、すばらしい製品、そしてなによりも保有する喜びをもたらしていたのだが、ナカミチの廉価な製品が、家電メーカー製の同一価格帯のモデルと並んでオーディオ雑誌で評価されているのを見て、「こんなのナカミチじゃない」と思ったのは私だけだったのだろうか。

 エルメスは高いからエルメスなのだ。そしてロレックスやパテックにロールスロイス...。築き上げたブランドを、安易な低価格で貶めることは、それが生み出す目先の利益よりもずっと大きな損失をもたらすと私は思う。だからこそ、私どもの製品はそれなりの値段を出さないと買えません。そういう製品を私は作っていたいと思う。

 幸いナカミチは健在らしい。そしてなにより、CD-ROM関連を止めて、本来のオーディオ製品に戻って来たのが嬉しく思う。「さすがナカミチだね、こんなの欲しいよ」という、ウオンツを満たす製品をこれからも生み続けて欲しい。

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